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自分にはそれしかないなら、それをやるしかないと思う。

☆ego-rock☆

2月頭に公演します。

「自由」とか「幸せ」とか「愛」とか、いろんなカタチがあるものだと思うのですが、
私なりに「自由」と「幸せ」のカタチを表現してみました。
そして、登場人物の様々な「愛」のカタチも。

以下、詳細です。

「浮遊少女」

【日時】
2010年
2月6日14時~、19時~
2月7日14時~
(受付開始、開場は、開演の30分前)

【場所】
MOVE FACTORY
(地下鉄中崎町駅より徒歩2分)

【チケット】
前売り:2,300円  当日:2,500円

【内容】
記憶を持たない少女・冬子は、自分を拾ってくれた男・牛島と暮らしていた。
意志も感情もないような冬子は、牛島に言われた本をひたすら読み続けるだけの生活を送っていた。
しかし、ある日、家にやってきた女の言葉により、冬子は意志を持とうとし始める。
自分の幸せを探して家を出た冬子は何を見て、何を感じるのか…。自由と幸せの概念を揺さぶる、静かに響くロックンロール。

☆各回終演後約1時間、浮遊少女にとって重要な要素である写真の展示会を行います。
ドリンクも販売致しますので、のんびりと写真をご覧頂き、役者ともお話をして頂ければと思います。

【作・演出】
生島裕子

【出演】
ナガセ、川口新吾、佳波芽依、丈太郎、ガブリエル、/松原千心

【 チケット予約方法 】
●件名に「チケット予約」
 本文に「お名前、電話番号、ご希望日時、枚数」を漏れなくご記入の上、メールにてご予約下さい。
 チケット予約メール申込用アドレス egorockyoyaku@yahoo.co.jp

観た人全員が、納得のいくようなお話ではないかもしれませんが、
何かしら感じてもらえるものになっていると思います。

色々細かいところが多く、役者も四苦八苦しておりますが、
公演当日には、良いものになっているはず!
いや、良いものにしますので、是非ともご覧下さい!!

☆1月8日☆

今年の秋に、ego-rockとは別でお芝居をすることに。

昨年秋ごろ、2月の公演にも出て頂く事になっておる松原千心さんと飲んでおるとき、
突如、千心さんが言い出したのが始まり。

千心さん選出の役者さんと、ego-rockの役者(全員ではありませんが)とでやります。


普段、ego-rockで好きなことをやらせて頂いている分、自分の好きなこととはまた違った、
他人に望まれていることもやっていきたいと常々思っていたので、
私の世界観を前面に押し出したものではなく、多くの人に楽しんでもらえるものを書こうと思っています。

思っています…。

思っているんですけどね…、難しいんでしょうけどね…、いや、でも、啖呵切ったからにはね、やらなきゃね。


その初めての顔合わせが、1月8日に行われました。

知らない人や、久々に会う人の事を考え、胃が痛くなるほど緊張しましたが、
みんな良い人達ばかりで、どうにか無事に顔合わせを終えました。

今年は、何かと転機の年だと思う!
やったるで~~!


☆イプシロン☆

森博嗣「εに誓って」を読んでおります。
ちびり、ちびり、と。
好きな本は、ちびりちびり読みます。

一応ジャンルはミステリィですが、私はミステリィとしては読んでなくて、
登場人物が考えていることが好きでよんでいたりします。
あと、スマートな会話とか。
当たり前を、静かに壊す感じ。

「浮遊少女」も、そういう風に、当たり前を静かに壊す作品になればと思うのですが、
非常に難しいですね。
会話の内容も、ところどころに、自分なりのスマートさを入れているのですが、
理解されているのかどうか…。

書くことしかないと、本気で思う今日この頃。
もっと精進が必要。
しかし、精進だけではない何かが、もっと必要。
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「崇灰の鴉と僕」 ② 光

女というのはなかなか面倒な生き物で、「見た目」というやつがとても大事らしい。

ある程度の歳になれば、化粧をしなくてはならない。
らしい。

「なんだかんだ言ったって、ビジュアルなんだよ。」

井口は、グロスを唇に塗りたくりながら言う。

「そうなのかなあ。」

「そうだよ。だって、なんだかんだ言っても、アンタも一目惚れだったんでしょう?」

「うん、まあ、そうなんだけど。ていうか、井口ってさ」

「何?」

「なんだかんだ、ってよく使うよね。」

井口は、丸い目を更に大きくし、

「嘘、マジで。」

と聞いてきた。

「うん、マジで。」

「うっそ〜。今までそんなの全然気付かなかったよ〜。なんかしんないけど、めちゃくちゃ恥ずかしいんだけど〜。」

井口は可愛い。

顔も可愛いけど、そういうんじゃなくて、言動が。

話す言葉とか、動作とか、決して上品ではないんだけど、いや、むしろ、だからこそだろうか、時々、彼女の中の純粋な女の子の部分みたいなのがちらっと見えると、素直に可愛いなって思う。

井口は、大学で唯一、一緒に行動したりする子だ。

世間で言う、「友達」というやつだろうか。

僕にはそういう子が今までいなかったから、よくわからないけれど。

「そうだ、これ、やるよ。」

井口は、小さなポーチを机の上に出した。

「何、これ?」

「化粧品。アンタ、全然持ってないんでしょ?」

井口は、そう言って、女の子の顔を私に見せた。

「この前、新商品色々買ったから使わないし、あげるよ。」

井口は、可愛い。

僕とは違う。
違いすぎる。

だから僕は、井口にどんな顔をすればいいのか、よく分からなくなった。

「いらないの〜?」

「いや…、いる。うん。ありがとう。」

「アンタが化粧したらさ、鴉さん、びっくりするんじゃない?」

化粧をした自分も、そんな僕を見た鴉の言動も、全く想像がつかなかったけれど、それは少し楽しい事のように感じた。

「そうだね、面白いね。」

僕は、小さな声で言った。

「そうだよ。こういう事って大事なんだよ〜。刺激っていうの?そういうのが無いと、恋は枯れていくんだから。アンタ、顔は可愛いんだから、もっと頑張りなさいよ。」

井口は、大袈裟にではなく、僕の事を考えてくれているんだろうな、と思う。

僕は、井口のことを、少しは考えてあげているだろうか。

きっと、あんまり考えていないだろう。

僕と井口は、やっぱり違う。

井口は、素敵な女の子だ。

素敵な女の子とは程遠い僕は、せめて、せめて、と思ってこう言った。

「うん、頑張る。」




家の近所に、小さな教会がある。

とても古そうだけれど、中に入るときちんと手入れされていて、とても綺麗だ。

僕は、そこがどても好きで、通りがかったら、いつも中に入っていく。

宗教には詳しくないし、神様の事なんてよくわかりもしないけれど、ただ、この空間がとても好きだと思う。


一度だけ、鴉を連れてきたことがある。

買い物をした帰りだ。


鴉と一緒に買い物をするのは、とても幸せな時間だ。

近所のスーパーには、家族連れや夫婦が何組も来ていて、まるで自分達も、同じような家族や夫婦の仲間入りをしたみたいな気持ちになる。

もちろん、僕はそれが勘違いだって、よく分かってはいるのだけれど、それでも、周りから見た自分たちが、夫婦のように、恋人のように見えているんじゃないかって、夢を見てしまう。


その日は、確か鍋をしようって言って、肉や魚をあまり食べない僕は、野菜をたくさん買ったんだ。

荷物は重かったのだけれど、僕は何故だか急に、鴉に教会を見せたくなって、わざわざ回り道をした。

「見せたいものがあるから。」

僕がそういうと、鴉は面倒くさそうな顔をしていたけど、

「見たらすぐに帰るからな」

って言って、僕の少し後ろをゆっくり付いてきた。

教会の周りには、全然人がいなかった。

「ここだよ。」

そう言って、僕は先に中に入った。

重い足取りで遅れて入ってきた鴉の顔は、ステンドグラスに反射した光のせいで見えなかった。

「綺麗でしょう?」

夕方の空の光が、教会の中にふうわりと入ってきていて、幻想的で、そこに僕と鴉が一緒にいるなんて、僕は胸がいっぱいで泣きそうな気持ちになった。

でも、その気持ちは一瞬で覚めた。

鴉は、近くにあった机を思い切り蹴ると、僕に背を向け、出て行ってしまった。

さっきまで確かに見えていたはずの、ふうわりとした優しい光は急に見えなくなって、僕は心臓が止まりそうに驚いて、慌てて鴉を追いかけた。

「ねえ、どうしたの?」

鴉は答えずに、ずんずんと先へ進む。

「ねえ!ねえって!」

僕は、鴉の洋服の袖を引っ張った。

その勢いで僕の方を見た鴉の顔は、泣きそうな顔で、僕はまた、心臓がぎゅっと痛んだ。

鴉は僕からゆっくりと顔をそらして、しばらく二人は、そのままじっとしていた。

「嫌いなんだ。」

鴉は、ぽそっと言葉を落とした。

「ああいうの。光がキラキラしてて…、だから、嫌いなんだ。」

「…どうして?」

本当はとても怖かったけれど、僕は、鴉に聞いた。

「綺麗もんなんて、嫌いなんだ。どうせいつか、無くなる。崩れる。それなら、最初からそんなものは見たくない。」

鴉は、またずんずんと歩き出した。

空は、さっきまでの夕方の暖かい色を弱めて、夜の色に飲み込まれていっていた。

振り返った教会も、今まで僕が見たことのない、暗い色にのみこまれていた。

僕は、小さく深呼吸をして、鴉の背中を追った。

僕が必要なのは、幻想の世界の暖かい光じゃなくて、闇に飲み込まれていっている、あの男だけだって、知っているから。




バイトを終えて家に帰ると、鴉はいなかった。

飲みに行ってしまったのだろう。

テーブルの上には、鴉が撮った写真が載っている音楽雑誌と、ビールの空き缶、2つ。

雑誌をめくると、今人気のロックバンドの写真が沢山載っている。

「あった…」

鴉の写真は、一目で分かる。

バンドのボーカリストらしき人の横顔。

明るいところで撮影されたのだろう、その写真には、何故か深い闇が見える。

被写体の闇が、前に出てきてしまうような写真。

思わず、誌面から顔を上げる。

目を瞑り、深く息を吐いて、もう一度写真を見る。

これが、今の鴉。

目をそらしちゃいけないんだ。

僕だけは。


僕と出会う前、いや、彼女が死んでしまう前の鴉の写真は、もっと華やかだった。

光が溢れていた。

でも、今は違う。

闇に飲まれている。

女の人は撮らなくなったし、キラキラしたようなものも撮らなくなった。

血にまみれた彼女の写真を僕に見せながら、鴉は言った。

「これ以上に撮りたい女なんて、もういないんだから。」

確かにそこに写っている彼女は、死んでいるのに、血まみれなのに、不思議と美しくて、僕は鴉の気持ちが分かった気がした。



ふと思い立ち、僕は顔を洗った。

化粧水と乳液を塗り、井口にもらった化粧品を取り出す。

ほとんどが新品のまま。

僕は、井口の気持ちに感謝をし、慣れない化粧を始めた。

眉を描き、アイラインを引くと、自分ではないみたいに、顔がくっきりとした。

マスカラを塗り、チークをし、グロスを塗る…。

普段、何もしていないせいか、これが正しいのかどうかすら分からない。

「なんか、気持ちわりい…。」

思わず、独りごちる。

きっと鴉は、夜中まで帰ってこないだろう。

一人だと、何も食べる気にもならない。

普段、僕は入ることが許されていない、彼女が死んだベッドルームに入った。

気のせいだろうか、血の臭いがする。

ベッドに倒れこむ。

鴉に見つかったら怒られるな。

頭ではそう思っているのに、体は、ベッドに飲まれるようにだるくなっていった。

この部屋で、鴉と彼女がしてきた事、会話を想像しようとする。

でも、うまくいかない。

頭がもわっとする。

僕はそのまま、眠りに入ってしまった。


気がついたのは、強い光を感じたからだ。

そして、遠くで何か音がしている。

うっすらと目を開けると、そこには、カメラを構えた鴉がいた。

何を撮っているんだろう。

…僕?

いや、そんなはずはない。

女はもう撮らないと言っていたんだ。

だから、そんなはずは…。

眠っている僕の上に、鴉がまたがって、また写真を撮り始めた。

光が、まぶしい。

もしも、僕を撮っているのだとしたら、それはどうして?

今まで一度だって、撮ってくれたことはなかったのに。

僕の心臓は、急に鼓動を早くした。

我慢ができなくなって、僕は目を開ける。

光が、止まった。

カメラをゆっくりと下ろした鴉の顔は、涙でぐしゃぐしゃだった。

どうして、泣いているんだろう?

僕のせい?

分からない。

鴉は、僕を無理やり起こして、抱きしめた。

化粧をした僕の顔を、ぐしゃぐしゃと触った。

「なんで、なんでだ…。」

鴉は、カメラを床に投げつけた。

僕は、慌てて拾おうとした。

鴉は、それをとめて、僕を強く抱きしめた。

「忘れたくないんだ…、俺は、忘れたく…ないんだよ…」

鴉が泣いている理由は、分からない。

だけど、僕は、鴉を強く抱きしめ返した。

カーテンの隙間から暗い夜空が見えて、そこにはほんの少しの星の光があって、弱々しく光っていた。
プロフィール

egorock215

Author:egorock215
ego-rockという劇団で作・演出しています。
淫れ菩耽とかいう名前で、怪しげなショーもどきもやっています。

台本を書く人がいなくて困っている劇団の方、その他諸々、文章を書くことなら何でもやりますので、声をかけてやって下さい。

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